ネタまとめ

かつて、はてなダイアリーというサービスがあった

「この電話で、写真を撮って貰えませんか。」

 

年末年始が非常に忙しくなる為、早めの休暇をと、24日に半休。
秋葉原のヨドバシで、カメラ用のクリーニングキット*1を購入した後、少し歩いてから地下鉄を利用して押上駅へ。
晴れたが寒い一日だった。
押上駅から業平橋駅へ向かう途中にある撮影場所に向かう。途中でも多くの人が携帯電話で撮影をしていた。

「建設中の塔は今しか見れないから」
当たり前なのだが、これはこれでいいと思っている。

前回来た時は150m程度(ちょうど、展望台が出来たあたり)だったので、そこから倍以上伸びた計算になる。
数枚撮影して、記録として現在の高さを記載しているパネルを撮影してから業平橋駅にて戻ることにする。
人気スポットとして認知された為か、記念用の撮影機(街中にある証明写真を作る事ができる機械)も置いてあった。
 

業平橋駅のホームの端からも良く見える為、ここでも数枚撮影したときに声をかけられる。
渡されたのは、所謂らくらくホン
「使い方は分りますか。」と聞かれたが、分らなくても何とかなるはずの電話機であり、
母親が数年前に購入したシリーズであったため(現在は高機能端末)、「大丈夫ですよ。」と言いながら撮影した。

慣れていれば「しつこい」と思うくらいの操作を行い、画像が保存された電話機を返してあげた。
歳相応に、手は冷たい。
「撮った写真はどうやって見れるか教えてもらえますか。」
そう言われて、画面を見ながら「このメニューを押して、2番を押した後に・・・」「大きく撮れてますか」「もう一度押せば大きくなりますよ」

そんなやり取りをしながら、電車が来る。
「もう歳だから、携帯を持てと言われてね。」そう言って同じ電車に乗り込んでいった。
80代くらいの男性だと思う。家族としては、上部のショートカットボタンを押せば緊急時でも繋がるし、端末によってはGPSもついた高機能な電話機である。当然持たせておくと思う。
だが、残念ながら商品コンセプトに反して、操作が難しかったようだった。
 

ハードウェア的には非常に作りこまれていて、十分な仕様だと思うが、ソフトウェア的には「文字を読ませる」必要があるのが駄目だったのかもしれない。
作り手にとっては文章にて解り易く表現できていても、使い手にとっては分りにくい場合が隠されているのだ。
それを補助する為のツール類(母親が買った時はVHSテープと手帳サイズの簡易説明書が付いていた。)も見ない人も居る。
本体のみで、どれだけ解り易くするか。自分の製作物にそれを反映するには・・・ そんな事を思う一期一会的なひと時だった。
 

保存された3枚の画像には、奥様と思われるものがあった。
 TVでやってたスカイツリーを見てきたよ。
そう言いながら見せたくて、撮影を頼んだのかもしれない。
しかし、ザックリと教えた閲覧方法では理解が出来なかっただろう。
それでも、持たせた家族の人が上手く見せてあげられる様にと浅草へ向かう電車の中で考えていた。
 

自分のカメラを持った時に「いつかすごくいい一枚が撮れたとき用にSDカードを持ち歩こう」と舞い上がっていた時があった。
実際、そんな瞬間なんて来る筈が無いと思っていたが、後から思えば、自分のカメラで何枚か撮って、そのメディアを渡してしまえばよかったのだ。
一枚数百円*2。「そのカードを持って、写真屋さんに行ってください」。
そう言えば、「いい一枚」が撮れたのかもしれない。

*1:はてなモノリス サービス終了のお知らせ

*2:しかし、その為のカードは今現在持ち合わせていない